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【栄養成分表示の基本】「推定値」と「表示値」の違いとは?正確なカロリーの違いとは?正確なカロリー計算と表示義務を解説

テイクアウトや通販商品の栄養成分表示、「推定値」で済ませていませんか?「推定値」と「表示値(分析値)」の違い、正しいカロリー計算、表示義務の範囲をプロが徹底解説。知らなかったでは済まされない法律違反のリスクと、お客様の信頼を得るための秘訣を伝授します。

目次

はじめに:その栄養成分表示、本当に大丈夫?見過ごせない「表示」の重要性

お店自慢の特製弁当、丹精込めて作り上げた加工品、ECサイトで全国に届けたい逸品…。素晴らしい商品をより多くのお客様に届けるため、テイクアウトや通信販売に力を入れている経営者様も多いことでしょう。
その際、商品のパッケージやウェブサイトに記載している「栄養成分表示」。皆様は、どのような根拠でその数値を記載していますか?
「なんとなく計算して載せている」「他社の商品を参考にした」「そもそも、よくわからないまま『推定値』と書いている」…もし、一つでも当てはまったら、このコラムを少しだけ読み進めてみてください。
実は、その「なんとなく」の表示が、知らず知らずのうちに法律違反のリスクを抱えたり、お客様からの信頼を損なう原因になったりする可能性があるのです。

テイクアウトやECサイト…あなたのビジネスも「表示義務」の対象かも?

2020年4月から、食品表示法により、原則として一般消費者向けに販売されるすべての加工食品に栄養成分表示が義務化されました。
「うちは小さな飲食店だから関係ないよ」と思っていませんか?
いえいえ、そんなことはありません。店内で提供する食事には表示義務はありませんが、容器包装に入れられたテイクアウト商品や、インターネットで販売する加工食品は、この法律の対象となります。コロナ禍を経てテイクアウトやデリバリーが当たり前になった今、ほとんどの食品事業者が無関係ではいられない、非常に重要なルールなのです。

表示は単なる義務じゃない!お客様との信頼を築くコミュニケーションツール

「法律で決まっているから、仕方なく表示している」
そう考えるのは、非常にもったいない!現代の消費者は、健康に対する意識が非常に高く、商品を選ぶ際に栄養成分表示を熱心にチェックしています。アレルギーを持つ方、食事制限をしている方、トレーニングに励む方にとって、栄養成分表示は「命綱」とも言える重要な情報源です。
つまり、正確で信頼性の高い栄養成分表示は、単なる義務を果たすだけでなく、お客様の健康に寄り添うお店の誠実な姿勢を伝え、絶大な信頼を勝ち取るための強力なコミュニケーションツールになるのです。
このコラムでは、そんな大切な栄養成分表示の基本、特に多くの方が悩む「推定値」と「表示値」の違いについて、どこよりも分かりやすく、そして楽しく解説していきます。

そもそも栄養成分表示って何?基本の「き」をおさらい

本題に入る前に、基本の確認から始めましょう。栄養成分表示は、食品表示法で定められたルールに基づいて記載する必要があります。

表示が義務付けられている5つの必須項目とは?

現在、必ず表示しなければならないと定められているのは、以下の5つの項目です。これらは、私たちが健康を維持する上で特に重要な栄養素とされています。

  • 熱量(エネルギー): いわゆる「カロリー」のことです。
  • たんぱく質: 筋肉や臓器など、体を作る主成分です。
  • 脂質: エネルギー源や細胞膜の成分になります。
  • 炭水化物: 体を動かす主要なエネルギー源です。
  • 食塩相当量: ナトリウムの量を、日本人が分かりやすい食塩の量に換算したものです。

この5項目は、いわば栄養成分表示の「レギュラーメンバー」。この他にも、食物繊維やビタミン、ミネラルなどを任意で表示することも可能です。

【ミニクイズ】この中で表示義務がないのはどれ?

ここで、ちょっとした腕試しです! 以下の栄養素のうち、現在の食品表示法で表示義務がないものはどれでしょうか?

  • コレステロール
  • たんぱく質
  • 食塩相当量

…正解は、「1. コレステロール」です。
コレステロールや、糖類、糖質、食物繊維などは「任意表示」とされており、表示するかどうかは事業者の判断に委ねられています。ただし、もし「コレステロールゼロ」や「糖質オフ」といった表示(強調表示)をする場合は、その含有量を表示する義務が生じるなど、追加のルールがあるので注意が必要です。

本日のメインディッシュ!「推定値」と「表示値」の決定的な違い

さて、ここからが本日のメインテーマです。栄養成分表示をよく見ると、数値の近くに「(推定値)」と書かれているものと、書かれていないものがあることにお気づきでしょうか。 この違いが、皆様のビジネスの信頼性を左右する重要なポイントです。

お手軽だけど落とし穴も?「推定値」の正体

「推定値」とは、その名の通り、「おそらくこれくらいの数値だろう」と計算によって導き出された値のことです。専門の検査機関で実際に食品を分析するのではなく、レシピに含まれる各原材料の栄養価を足し合わせて算出します。

  • メリット: 専門機関に依頼する必要がないため、コストをかけずに、スピーディーに値を算出できるのが最大の魅力です。
  • デメリット: あくまで計算上の値であるため、実際の製品に含まれる栄養価とは誤差が生じる可能性があります。また、表示には必ず「(推定値)」と明記しなければなりません。

「推定値」はどうやって計算するの?計算方法の舞台裏

推定値の計算は、主に文部科学省が公表している「日本食品標準成分表」という、いわば「食材の栄養素データブック」のようなものを活用します。
例えば、「鶏もも肉50g、醤油10g、砂糖5gを使った照り焼き」のたんぱく質を計算する場合…

  • 成分表で「鶏もも肉」「醤油」「砂糖」の100gあたりのたんぱく質量を調べる。
  • それぞれの使用量に合わせて計算する。
    ・鶏もも肉:16.6g/100g → 50g使用なので 8.3g
    ・醤油:7.7g/100g → 10g使用なので 0.77g
    ・砂糖:0g/100g → 5g使用なので 0g
  • これらを合計する。8.3g+0.77g+0g=9.07g8.3g+0.77g+0g=9.07g

これが、計算による推定値の算出プロセスです。しかし、ここで一つ大きな疑問が浮かびませんか? 「調理による変化はどうなるの?」
その通りです。焼くことで水分が飛んだり、油で揚げることで脂質が増えたりといった「調理による変化」は、この計算では正確に反映させることが非常に難しいのです。これが、推定値が「あくまで推定」である所以です。

「推定値」と表示する場合

表示値設定根拠を保管し、行政からの求めに応じて開示することが必要です。
食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドラインによれば、栄養成分値と表示値との差が認められると想定される場合、成分値に表示値との差が認められることが想定される場合は、以下の書類を作成、保管し、行政の求めに応じて開示する必要があるとしています。

【計算値を表示する場合】
  • 原料の配合表及び調理加工工程表
  • 原料の栄養成分及び利用したデータベースの種類に関する資料
  • 栄養成分計算に関する資料
【食品成分データベースに基づく参照値を表示する場合】
  • 参照したデータベースに関する資料
  • 参照した食品と栄養成分表示しようとする食品の類似性に関する資料
【過去の分析や単回の分析に基づく参照値を表示する場合】
  • 原料の配合表及び調理加工工程表
  • 分析試験成績書
  • 過去の分析値や単回の分析値を参照可能であることを示す資料

正確性と信頼性の証!「表示値(分析値)」とは?

一方、「(推定値)」の記載がない表示。これは「表示値」または「確定値」と呼ばれ、その多くは、専門の検査機関が実際に製品を分析して得られた科学的根拠のある数値です。

  • メリット: 実際に製品を分析するため、非常に正確で信頼性が高いのが特徴です。消費者に対して、誠実で安心感のある情報を提供できます。
  • デメリット: 専門機関での分析には、コストと時間がかかります

この値を表示する場合、「(推定値)」という表記は不要です。つまり、何も書かれていない栄養成分表示は、「これは実際に分析した、信頼できる数値ですよ」という無言のメッセージでもあるのです。

「推定値」と「表示値」、結局どっちを使えばいいの?判断基準を徹底解説

「コストを考えれば推定値がいいけど、信頼性も大事だし…」と悩んでしまいますよね。どちらを選ぶべきか、判断のポイントは非常にシンプルです。

推定値でOKなケース
  • レシピが頻繁に変わる日替わり弁当など、分析コストが見合わない商品
  • 栄養成分の値を特にアピールしない一般的な商品
表示値(分析)が望ましい、または必須なケース
  • 「低カロリー」「塩分控えめ」「高たんぱく」など、栄養に関する特定の長所をうたう(強調表示する)商品
  • 長期間、同じレシピで製造・販売する定番商品
  • アレルギーを持つ方や食事制限のある方がメインターゲットの商品
  • 企業の信頼性を高くアピールしたいプライベートブランド商品

特に、栄養に関する強調表示をする場合は、その裏付けとなる客観的なデータが必要となるため、分析による「表示値」が実質的に必須となります。安易に「糖質オフ(推定値)」などと表示すると、景品表示法などに抵触するリスクがあります。

正確性と信頼性の証!「表示値(分析値)」とは?

理屈はわかっても、自分の商品がどちらに当てはまるのか、判断に迷うこともありますよね。具体的なケーススタディで考えてみましょう。

ケース1:日替わりランチ弁当の場合

毎日メニューが変わる、町の弁当屋さんの「日替わりランチ」。 この場合、毎日分析に出すのは現実的ではありません。原材料も日によって多少変動するでしょう。したがって、これは「推定値」での表示が適している典型的な例です。レシピから栄養価を計算し、「(推定値)」と明記して表示すれば問題ありません。
(但し、お客様の注文に応じて弁当、そうざいをその場で容器に詰めて販売する行為や仕出し弁当は、食品表示基準における容器包装に入れられた加工食品の販売に該当せず、食品表示基準 第40条に定める生食用牛肉の注意喚起表示を除き、食品表示基準に定められた表示は免除されます。しかし、お客様から「このお弁当のカロリーや塩分はどの位ですか」などの問い合わせがあった場合を想定すると、栄養成分は把握しておいた方が良いでしょう)

ケース2:「低糖質」をうたう特製チーズケーキの場合

パティシエが健康志向のお客様向けに開発した、おからと甘味料を使った「低糖質ベイクドチーズケーキ」。これをECサイトの目玉商品として販売します。
この商品はどうでしょうか? 「低糖質」という健康上のメリットを前面に押し出して販売するわけですから、その数値には絶対的な信頼性が求められます。お客様も「本当に糖質が低いのか」を厳しくチェックするでしょう。
このようなケースでは、必ず専門機関で分析を行い、「表示値」として正確な数値を表示するべきです。もし計算上の推定値で「糖質5g」と表示した商品が、実際には10gあったとしたら、大問題に発展しかねません。

知らないと怖い!表示値の「許容差」というルール

「よし、分析して正確な値を出したからもう安心だ!」…と、思うのはまだ早いかもしれません。実は、表示された値と、実際に販売されている商品の成分値との間には、一定の「許容差」が認められています。
消費者庁が定める許容差の範囲は、栄養素によって異なりますが、例えばエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物は「表示値の±20%以内」とされています。

  • 例:表示が「脂質 10g」の場合 → 実際の製品は 8g~12g の範囲に収まっている必要がある。

この許容差のルールは、天然物である原材料の個体差や、製造工程でのわずかなブレを考慮したものです。しかし、この範囲を超えてしまうと、たとえ分析した値であっても「不適切な表示」と見なされる可能性があります。
特に、自家製の「秘伝のタレ」のように、レシピが複雑で調理工程による変化が大きいものや、手作業での製造比率が高い商品は、ロットごとに成分値がブレやすい傾向にあります。定期的な品質管理と、必要に応じた再分析が、表示の信頼性を維持するためには不可欠です。

「もう計算したくない!」そんなあなたへ。プロに任せるという選択肢

「成分表とのにらめっこはもう疲れた…」 「調理の変化まで考慮した正確な計算なんて、正直無理!」 「許容差とか言われると、もう何が何だか…」
ここまで読んで、そんな風に感じた方も少なくないはずです。レシピを考え、美味しい料理を作り、お客様に喜んでいただく。それが食のプロである皆様の本分です。慣れない栄養計算に膨大な時間を費やすのは、得策とは言えないかもしれません。
そんな時は、その道のプロ、つまり専門の検査機関に任せるという賢い選択肢があります。

なぜ専門の検査機関に依頼するべきなのか?3つの大きなメリット

  • 圧倒的な正確性と信頼性 専用の機器と専門知識を持つ技術者が分析を行うため、極めて正確なデータが得られます。これは、お客様に対する何よりの誠意の証となります。
  • 時間と手間の大幅な削減 面倒な計算作業から解放され、商品開発や販促活動など、本来集中すべき業務に時間を使えます。新商品を市場に投入するスピードも格段にアップします。
  • 法的リスクの回避と「安心」の獲得 食品表示法や景品表示法といった複雑な法律に準拠した、信頼性の高い表示が可能になります。「この表示で大丈夫だろうか…」という日々の不安から解放され、自信を持って商品を販売できます。

栄養成分表示だけじゃない!商品開発を加速させる合わせ技

専門の検査機関は、栄養成分表示の分析以外にも、食の安全と品質を支える様々な検査を行っています。
例えば、新しく開発したお惣菜をネット販売したい場合、

  • 栄養成分表示の検査で、正確なカロリーや塩分量を把握
  • 賞味・消費期限検査で、安全に販売できる期間を科学的に設定
  • 食品細菌検査で、製造工程が衛生的であるかを確認

これらの検査をワンストップで行うことで、安全で、信頼性が高く、魅力的な商品を、スピーディーかつ効率的に開発することが可能になります。これは、競争の激しい食品業界を勝ち抜くための大きなアドバンテージとなるでしょう。

まとめ:正しい栄養成分表示で、食の未来とお客様の信頼を掴む

栄養成分表示は、もはや単なるパッケージの飾りや、法律上の義務ではありません。それは、作り手である皆様と、食べるお客様とを結ぶ、目に見える「信頼の架け橋」です。

  • 「推定値」は手軽ですが、あくまで計算上の値。
  • 「表示値(分析値)」はコストがかかりますが、科学的根拠に基づいた信頼性の高い値。

自社の商品特性や販売戦略に合わせて、この2つを賢く使い分けることが重要です。そして、「低糖質」や「塩分控えめ」といった商品の魅力をアピールしたいのであれば、必ず分析に基づいた正確な「表示値」で、お客様の期待に応える責任があります。
「面倒だ」「コストがかかる」と感じるかもしれませんが、その一手間が、お客様の安心と満足につながり、結果としてお店や企業のブランド価値を大きく高めてくれます。
正しい知識を身につけ、時にはプロの力も借りながら、自信と誇りを持ってお客様に届けられる栄養成分表示を目指しましょう。その誠実な姿勢こそが、これからの食の未来と、お客様からの揺るぎない信頼を掴むための鍵となるはずです。

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